2011/02/11

ロヴァニエミの図書館

Rovaniemin Kirjasto, Alvar Aalto, 1966

ここロヴァニエミは、その街のほとんどが第二次世界大戦時に破壊されてしまい、その後アアルトの計画に基づいて再度作られた街でもあります。そのためアアルトの設計した建物がいくつかあり、この図書館もそのひとつ。


この図書館でとても感じ入ってしまったのは、入り口から最後にたどり着く本棚までへの、空間の連続のさせ方。変化に満ちていて、中を歩いていて飽きることがないのです。


これは、外観です。一面雪景色のなか、ほぼ真っ白です。


入り口。



細い通路を通って閲覧室に向かいます。天井に並んでいる楕円形の穴はトップライトです。



トップライトを見上げる。



そして閲覧室に入ります。

閲覧室に入ると、空間は一気に横に広がります。本棚が壁に沿ってずらっと並んでいるの見え、奥の方にはなにやら光が上から落ちてきているのが見えます。左に見えるのは貸し出しカウンターで、本棚はここを中心に扇形に広がっているため、閲覧室に入るとこの図書館にある本棚がほとんど全部一望できます。

ごく自然に目は光の落ちる方へと向き、吸い寄せられていきます。





これは反対側からの眺め。



そして、本を探す人の多くはこの空間にたどり着くことになります。上に開けられた窓から入った光が、カーブした白い壁を伝って落ちてきています。奥に見える光はこれだったのか。

ここに至るまでの天井が比較的低く抑えられているために、ここでの上への広がりはとても驚きに満ちた新鮮なものに感じられました。

他にも道が細くなっていたり、くねくね曲がっていたりいろんな変化があって、歩いていて飽きることがないのです。なんだか本を探して探検しているような気分。



本棚の後ろには台があり、気になった本などをその場で広げて読めるようになっています。こういう気配りが、とてもいい。



探し当てた本をじっくり読みたいときは、階段を下りて本棚に包まれた空間へ。椅子や机、照明もアアルトがデザインしたものです。






図書館で本を探すのは、宝探しに似たワクワク感があると思います。無数にある本の中から、自分だけの本を探し当てる楽しみ。思いがけなくよい本に出会ったりした時など、自分だけの宝物を探し当てたような、なんとも嬉しい気持ちになりますよね。

一目で全体を把握できるわかりやすさと、探検しているようなワクワク感。相容れないように見えるこの2つを、見事に実現している図書館でした。


最後に、他の本関係のアアルト建築を…。

国民年金会館図書館, Alvar Aalto, 1953-56, Helsinki

周りを囲った親密な性格の空間は、アアルトの他の作品でも多く見ることができます。アアルトは「囲う」ことに強いこだわりがあったみたいです。




アカデミア書店, Elissa & Alvar Aalto, 1969, Helsinki

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